資金繰りが厳しい時に即効性があるのに経営者の9割が知らない具体策

資金繰り厳しい

会社の資金繰りが厳しい時、どのような方法で資金都合をつけるのがベストでしょうか? 資金繰りが厳しいときは、とにかく即効性のある対策を講じることが重要です。当然、事業を継続していれば資金繰りの悩みは常に存在し、問題が起きれば早急に解決しないと最悪の場合は倒産してしまうことさえありますので、経営者は即効性のある解決手段を知っておく必要があるでしょう。

そこで本記事では、会社の資金繰りが厳しくなる原因とその解決策、そして、経営者の9割が知らない即効性のある資金繰り改善の具体策を解説していきますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

なお、一刻も速く即効性がある資金繰り改善の方法を知りたい方はコチラの内容をご確認ください。→ ④ファクタリングを活用する』

プロフィール
【執筆・監修】
リトラス税理法人 京都事務所:税理士 佐藤憲亮

税理士業界歴15年超。 「お客との対話を大事に」をモットーに、何でも相談できる専門家として税務顧問業務をメインに活動。また、税務記事や税務論文の執筆も行っており、スキマ時間を使ってブログ運営もしている書くことが好きな税理士。大学卒業後、税理士事務所の職員として12年の実務経験を積む。税理士資格取得後は、税理士法人で社員税理士として登録し、現在は京都で税理士事務所を運営している。

1.資金繰りが厳しくなる原因

 資金繰りが厳しくなる原因は会社によって様々であり、その改善策も原因により様々です。まずは原因を突き止めることが重要であり、その原因が分かることで対処法も見えてきます。ここでは、資金繰りが悪化する主な原因を解説していきます。

①在庫が多い

 卸売業、小売業、製造業を営む事業者は、常に一定の在庫量を確保しておく必要があり、在庫をそのまま販売、又は加工して販売することで利益を出すビジネスモデルとなります。この場合、仕入は先行投資的な意味合いもありますので、商品を販売して売上に変わるまでは、現預金を在庫に変えて会社内部に固定しておくこととなります。そのため、すぐに販売する予定のない在庫を抱えているということは、使うことができない現預金を抱えているのと同じことであり、そのため在庫が多いと資金繰りが悪くなってしまいます。

②売掛金の回収スパンが長い、買掛金の支払いスパンが短い

 商品販売やサービスを提供し、その売上の対価として将来的に金銭を受け取る権利のことを「売掛金」と言い、商品購入やサービスの提供を受け、その仕入の対価として将来的に金銭を支払う義務のことを「買掛金」と言います。なお、これらの取引は信用取引に区分されるため、相手方との信用程度や取引関係により、その回収スパン、支払スパンが決まってきます。売掛金の回収スパンが長い、又は買掛金の支払スパンが短いと、現預金の受取よりも支払いが先行してしまうため、資金繰りは悪くなってしまいます。

③収支管理ができていないため、無駄な支出が多い

 収支管理をせずに事業を行っている場合は、何にどれだけの支出がされているのかを把握できないため、知らず知らずのうちに不要な支払いが増えていってしまいます。会計帳簿をつけていればどういった支出が多いのかが分かりますし、前期と当期を比較することで勘定科目ごとに増加している支出の内容を確認することもできます。さらに、業界平均等と比較することで、どの程度の支出が望ましいのかも分かりますので、常に事業収支は把握できるようにしておくことが重要です。

2.資金繰りが厳しいときの改善策

 資金繰りが厳しくなっている原因が分かれば、次は改善策を実行していく必要があります。ここでは、資金繰りが厳しいときの具体的な改善策を解説していきます。

①適正在庫のみ持つようにする

 在庫を抱え過ぎると現預金を固定することとなりますので、適正在庫のみを持つように調整することが必要です。適正在庫とは、欠品を出さないための最低限必要な在庫量のことを言い、一般的に適正在庫は「安全在庫+サイクル在庫」で算出できます。

 安全在庫とは、通常の在庫に加え、需要の変動や急な発注に対応するための最低限の余剰在庫のことを指し、サイクル在庫とは、発注から次の発注までの間に販売される在庫量の半分量のことを指します。例えば、毎月1日に発注するのであれば、そこから約15日間に販売される在庫量がサイクル在庫と言われるものです。

 また、過去の数値から在庫回転率と在庫回転日数を割り出し、適正在庫を算出する方法もあります。具体的には、下記の計算式で算出可能となりますので、参考にしてください。

【在庫回転率】

在庫回転率 = 年間又は月間の売上原価 ÷ 平均在庫金額

※売上原価 = 期首在庫金額 + 仕入金額 – 期末在庫金額

※平均在庫金額 =(期首在庫金額 + 期末在庫金額)÷ 2

 在庫回転率は、一定の期間内で何回在庫が入れ替わったかを知る数値となります。業種によって適正な回転率は異なりますが、在庫回転率が高いほど無駄な在庫を持っていないということになります。

【在庫回転日数】

在庫回転日数 = 日数 ÷ 在庫回転率

 在庫回転日数は、何日で在庫が入れ替わるかを知る数値です。こちらも業種によって適正な日数は異なりますが、日数が短いほど滞留している在庫がなく、効率の良い経営ができているということになります。

②売掛金の回収を早く、買掛金の支払を遅くできないか交渉する

 売掛金の回収スパンを早くする、又は買掛金の支払いスパンを遅くすることで、資金繰りを改善することができます。ただ、取引先との関係性によってはスパンを変更することが難しい場合もありますので、あくまで交渉事と捉えて、可能であれば変更を打診してみましょう。

③金融機関から資金調達する

 金融機関から融資を受けることができれば資金繰りは改善されます。ただ、融資を受けるためには必要書類の作成、金融機関の審査など、一定の時間を要することになりますので、急いで資金調達しなければならないときは不向きです。また、業績が悪い場合は融資を受けられないこともあり、金融機関との日頃の付き合いがない場合は、融資はさらに困難となるでしょう。

④ファクタリングを活用する

 資金繰りの早期改善策として、ファクタリングを利用するという方法があります。ファクタリングとは、売掛債権を一定の手数料を負担することで売却し、売掛金の回収時期を待たずに早期に現金化する手法のことを言います。一般的に資金繰りを改善するためには時間を掛ける必要がありますが、ファクタリングは目の前の資金繰り改善する即効性のある手法となります。

3.資金繰りを即効改善するファクタリングとは

 資金繰りを即効改善するファクタリングについて、経営者の9割はその活用方法を知らないと言われています。そのため、ここではファクタリングについての正しい活用方法を知ってもらうため、メリット・デメリットなどについて詳しく解説していきたいと思います。

①ファクタリングを活用するメリット、デメリット

メリット
  • 業績が悪くても資金調達に影響しない
    ファクタリングは債権譲渡取引であるため、業績は影響しません。
  • 資金調達までのスピードが早い
    条件が揃っている場合は即日入金の事業者も存在します。
  • 売掛先企業の倒産リスクを回避できる
    売掛先の財務状況が芳しくないときは、ファクタリングを実施することでそのリスクから解放されます。
デメリット
  • 手数料がかかる
    早期回収することを代償に手数料がかかります。
  • 得意先と関係が悪くなる可能性がある
    売掛先に承諾を得て行う3社間ファクタリングの場合は、今後の取引に影響を及ぼす可  能性があります。

②ファクタリングの効果的な活用方法

 ファクタリングは入金スピードが早いのが特徴です。急いで資金調達をしないといけなくなった場合、金融機関から融資を受けるのが難しい場合などに利用されることが多くなっています。また、根本から資金繰りを改善していくためには、在庫調整をしたり、無駄な支出を減らしたり、取引先や得意先との交渉が必要となってくるため一定の準備期間が必要です。そのため、準備期間中の短期的な資金繰り改善のためにファクタリングを利用することも検討しましょう。

③ファクタリングの種類

 ファクタリングには、自社とファクタリング会社との間で行う2社間取引と、自社と得意先とファクタリング会社との3社で行う3社間取引があります。2社間取引では、得意先に債権譲渡の事実を伝える必要がないため、債権の現金化スピードは早くなりますが、ファクタリング会社のリスクが高いため手数料は高くなります。また、3社間取引は、得意先の了承を得てからの手続きになりますので、債権を現金化するまでに時間を要することが多いです。しかし、ファクタリング会社のリスクは下がるため、2社間取引よりも手数料が低くなるのが特徴です。

④ファクタリングの手数料相場

 ファクタリング手数料は、事業者や取引内容によって異なります。手数料金額に法的な上限規制はありませんが、2社間ファクタリングの一般的な手数料率は、おおよそ10%~20%です。ファクタリング取引は金銭債権の売買取引であるため、両者の合意があれば手数料金額は自由であり、その金額はファクタリング会社が負うリスクの高さ等で決定されます。違法な事業者はリスクは低いにもかかわらず、手数料を高く設定することが多いため、不審を感じたら取引を停止することが重要です。

また、中には悪質なファクタリング会社もありますので、1社のみで検討するのではなく、複数社から情報を集めて比較検討することが重要です。こちらの「ファクタリングベスト一括査定サイト」は優良なファクタリング会社のみを取り扱っており、安心して利用できるのでオススメです。

4.資金繰りが厳しくなる前の事前対策

 資金繰りが厳しくなる前にやっておくべき対策について、基本的なものから即効性のあるものまで解説していきます。

①常に事業損益と現預金残高を把握しておく

 資金繰りが厳しくなってから動きだしたのでは取れる改善策は限られます。そのため、常に事業損益と現預金残高を把握し、さらにランニングコストはいくらかかるのかも把握しておくことで、資金調達が必要な時期が見えてきます。現状の数字と予測を基に、窮地に陥る前に資金調達を実行していきましょう。

②全ての支出について費用対効果を意識する

 その支出が事業にどのようなプラス効果をもたらすのか、又は将来的にどのようなプラス効果が期待できるのかを意識をしておくことが重要です。いつ何が起こるか分からないという心構えで、常に費用対効果を意識し、無駄な支出を削ぎ落すことを考えていきましょう。

③業績の良いときに借りておく

 資金繰りに困ったときに金融機関に相談することは重要ですが、金融機関は「雨が降っているときに傘は貸さない」と言われるように、業績が悪化してからでは融資を受けることが難しい場面も多いです。そのため、早期に金融機関と関係性を作っておき、業績の良いときに借りておくということも重要な経営判断となります。

④ファクタリング会社の情報を収集する

 資金繰りが厳しくなってから資金調達のために動き出したのでは、間に合わないということもあります。そのため、事前にどのような資金調達手段があるのかを調べておき、どのタイミングで動き出せばいいのかを知っておくことが重要です。

 ファクタリングを利用する場合は、優良なファクタリング会社を見つける必要があるため調査するために時間を要します。まずは一括査定サイトを利用して情報収集を行い、手数料等の市場全体の平均を知ることが重要です。比較検討することで、自社が求める条件に合致するファクタリング会社も見つかるでしょう。

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